寝台特急「サンライズ出雲」に乗って鉄の故郷・たたらの里へ。山を削り木炭を燃やし砂鉄から玉鋼を精製して刀剣を作る日本の伝統技術。500年を超す鉄の歴史・文化を訪ねる旅に出よう。

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鉄の故郷「たたら製鉄」

「たたら」とは日本で古来より独自に発展を遂げてきた砂鉄を原料にした製鉄法だ。原料となる砂鉄の大量生産が可能になり、鉄の需要が高まった江戸時代後期から明治にかけては「たたら製鉄」は最盛期となった。
その日本最大の生産地となったのが中国地方の出雲。中国山地の山々は日本刀の原料となる良質な砂鉄の地質に恵まれ、最盛期には国内生産の8割を生産していた。

史跡

安来平野を経て汽水湖・中海にそそぐ飯梨川が流れる広瀬町。「月山富田城」は奥出雲の鉄生産地を支配下に治めた戦国大名・尼子氏の居城だった。
戦国時代から江戸時代の初めまで、山陰の政治経済の中心地だったこの山城は、標高190mの月山に築かれた難攻不落で敵対する戦国武将・毛利氏からの攻撃を受けても耐え抜いた天下の要塞だった。城主が移り変わり松江城が領国支配の拠点となって以降は一国一城令が発布されて廃城となったが、城跡には尼子家への忠義を貫いた家臣・山中鹿介の銅像や供養塔、最後の城主・堀尾氏の墓、石垣や土塁が往時の面影を伝えている。

インタビュー

  安来市長が語るたたらへの思い

ドジョウすくいの由来は砂鉄すくい? 奥出雲の山の土砂から砂鉄を採集し、たたら製鉄でできた玉鋼を港から日本全国に搬出する拠点だった安来。鉄の積出港として栄えた賑わいの歴史を観光として再発見して町おこしをしたいという安来市の田中武夫市長に話を聞いた。

足立美術館 

米国の日本庭園専門誌で18年連続日本一に認定されるなど全国的に有名になった美術館。安来に来たらここは外せない。安来駅からもクルマで20分ほど(無料送迎バスもある)で連日多くの観光客が訪れる。
近代日本画の巨匠・横山大観や芸術家・北大路魯山人などのコレクションも多数展示されているが、最大の見どころはやはり枯山水式の日本庭園だろう。

寝台特急

JR東京駅を21時50分に出発して島根県JR安来駅に翌朝9時13分に到着する寝台特急「サンライズ出雲」。約11時間の車中泊体験は非日常の旅にはベストな選択かもしれない。
通常なら飛行機で羽田から米子までわずか1時間、新幹線なら東京から岡山を経由して安来まで約4時間の移動だが、途中の旅情を味わいながらの夜汽車旅は乗ってみると船旅のような贅沢気分が楽しめる。

グルメ

安来といえば安来節。安来節といえばどじょうすくい。安来は全国でも屈指のどじょうの産地として知られる。
どじょうはカルシウムがうなぎの9倍、ビタミンDが豊富、血液サラサラ効果などいいことだらけの健康食材だ。とりわけ安来どじょうは骨が柔らかく、この地域では柳川鍋や甘露煮のほかさまざまな料理が味わえる。
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